共鳴共感、人の並立、人民民主の共和制  その…はて幾つだっけ?

 おもろい爺さんにあった。これと思ったこと、すぐやる。気に入ったもん、何でも植える。品種の改良、自分でやる。

 面白がって夢中になる。こいつがほんまもんの進歩の根っこだと、俺は思ってる。人と社会の。

 この国の社会と組織は、この手の者達を小馬鹿にする。または排除する。これで成り立ってきた。

 夢中でやっちゃう人たちは、知らずに無視しちゃうからね。序列や利権を。

 その場限りの目先の利権。こいつに追従して潰れた組織を、俺は見てきた。

 何がほんとに大事かは、上っ面の「お付き合い」や目先の損得、取り引きじゃ案外見えねえ。見えたって、見て見ねえふりする方がその場は得。在り物の組織ん中じゃ、絶対得。組織ある限り。続く限り。そうして人間は、泥船とともに沈んでいく。

 早く辞めちまえ。そんなとこ。口酸っぱくして言っても、辞めずに沈んでった奴はいた。飛び出ても、またぞろ同じこと、別のとこでこんどは自分から始める奴はいた、っていうか、その組織に関しては、全部が全部この手だった。某出版社の話。その場限りの見得体裁=アタマで動く者達がホネの髄から駄目ってのは、こうした奴らとの関わり等々で骨身に沁みた。

 昔俺がいた組織は、まだ上方に在る。規模的にゃ、羊頭狗肉の田舎出版社なんかの比じゃねえ利権の中にあるので。それだけの話。泥船は必ず沈む。そして人間共は必ず腐る。沈むはるか前に。

 撮影屋時代。俺は俺が小馬鹿にされてるのが、よく分かった。よく分かる自意識。こいつ持ち合わせてるのが、小馬鹿にされても小馬鹿にされてもおもしろがって品種改良の爺さんと俺の違いだった。こんなもん持ち合わせてなけりゃ、持ち合わせてても俺の嫁さんのように薄けりゃ、ひょっとすりゃまだやってたかも。うるせえがお人好しで、使いやすい男。この枠内で、運良くずっと見られてりゃの話だが。

 俺の人生の目的は、馬鹿げた自意識の首絞め殺すことだった。

 だが、ある時こいつにゃ見切り付けた。くっついちまったもんはしょうがねえ。その代わり、自意識のあっち側じゃねえこっち側に、肉体の側に、感性の側にしっかりと身を置くべえと。撮影屋稼業にいっ時打ち込んだのも、思やそうした人生の上のもんだった。何度も言うが、「おめえは間違っちゃいねえさ」。そうささやいてくれた吉本隆明爺さんのお陰はある。クソ貧乏人生が、その後待ってただけだったけど。

 自意識のこっち側の世界。理念として、制度として作らなきゃいけねえと、俺は今はっきりと思う。夢中で何かに打ち込んじまう爺さんが、それなりに浮かばれるために。腕組んで人見下し、能書き評論抜かす。抜かすばかりじゃねえ、ほんまもんの人の汗小馬鹿にする。小馬鹿にし切れねえとなりゃ排除にかかる。この手の宦官、組織人、したり顔共、たたき落とすために。組織人共の需要じゃねえ、人間様のほんまもんの需要に根ざした社会にするために。

(付記)
 こないだ厚労省の役人、公文書偽造だかでとっつかまったろ。上意下達そのまんまやった罪で。
 あれ、とっつかまらねえようにやったら、どうなったべ? ねちねち陰湿いじめで首か、永久左遷だべ? 犯罪なるもんは起きなかったろけどね。
 犯罪なるもんは起きなかった。だが起きねえ防波堤。こいつはそれ故、永久に日の目見ねえ。この手の社会ぶっ壊せってことさ。
 人間はどこまで行っても自分がかわいい。ずるい。だから100%じゃなくたっていいんさ。根底の理念、仕組みに真っ当さ組み込んどきゃね。ずるシャモ共があぐらかく精神・仕組みは、形だけでもとっ払っとかなきゃね。部族国家、家父長制のヘンなもん、いつまでも戴いてちゃ駄目ってことさ。