2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

頭に来ねえ俺が、俺を救う。 こいつは俺の人生の、二十歳の頃からの主題だった。というより、一〜三歳の頃からの主題だった。 意識が心に芽生えた頃からの。 ヒトはそのための格闘を、ヘタすりゃ死ぬまで続けることになる。 先日も馬鹿なことしちまったなと…

吉本隆明と言えば23年前、こんな思い出がある。 町工場の町で、創業主の親父達の聞き書きを作ってた時だ。 ある工場主の親父が、俺を昼飯に誘ってくれた。 工場は、戦後親父が帰って大きくなった。大きくなったといったって、従業員せいぜい百数十人前後の下…

テレビは、面白くねえ。 ニュースもドキュメントもドラマも。 トレンディドラマなんてのは、とりわけ。 理由ははっきりしてる。 お仲間達の物作りだから。 踏ん張る奴がいねえのだ。 「ここは、もうちょっとこうしねえと…」 踏ん張りの根拠は、そいつの孤独…

俺が団塊なるものを駄目というのは、批評の世界に逃げたから。生身の世界から。 こいつらは怖かった。戦後の暴虐が。 裸一貫の親父達。 職人世界にも町工場にも、どこにもいた。 油まみれの親父達、泥んこ土方の親父達、映画屋撮影屋等々、作ることに憑かれ…

「子供達、お父さんお母さんご苦労さんって、お歳暮か何か送って来ないかしらね…」と嫁さん。 半分冗談で、半分そんな気がするんだろう。 しっかりするしかねえなと思うのは、こんな時だ。 日雇い、日銭、明日のことは分からねえ、その日暮らしに根性入れて…

強姦しといて「相手だって喜んでた」。 ニッポンってのは、こいつと同じ。つくづくどうしようもねえクズ野郎。 重箱の隅つつく話持ち出し、合意の上だ。やっちゃいねえ。 権力と無力。絶対の立場の違い忘れ果て。 強制は、いつのまにか「無かった」。虐殺も…

 窮鳥

窮鳥懐に入らば 猟師これを撃たず これは男の本質だ。 女は子を産み育てる時は無防備だ。 それを守る強さと共に、弱みとさせぬ思い。 こいつは絶対なのだ。 弱みに付け込む。それだけでこいつは最早男じゃねえ。 子育ては社会が守る? ケチはつけねえが無駄…

「思いなんて誰も持ってる。表す力あれば、文章家とか芸術家なんかより何倍も膨らんだもの作れる人、世の中にいっぱいいると思う」 これは嫁さんの言。義母の遺品を整理して拙い俳句を見つけた時、言ったことだ。 言うに言われぬ思いを抱え、日々暮らす人々…

  庶民の中へ

吉本隆明はかつて学生達に、「おめえら地べた這う庶民になれ」と言う意味のことを言い続けた。 この通りには言わなかったろう。だが彼の雑文の中には常に「そうしろ、そうしろ」というものが込められていた。 実際、その通りにしたものはいたらしい。 前にも…

 ツケ未払い

これはと思う昔の奴ら振り返ってはっきりしてるのは、30〜40代、良くて50代前半で死んでるってこと。大抵の奴は。 今は長命。 労働が改善? 栄養、医学が良くなった? 健康知識が増えた? そうだろうよ。でもそれだけじゃねえ。 ぼ〜っと生きてるから…

ヒトは、一人ひとりがエネルギーの塊だ。 こいつを、もっと早く自覚してりゃ良かったと、しみじみと思う。 そうすりゃ凝固した、あるいは凝固しがちな思いなどに、そうひっぱられずにやってこれたろう。 俺とは別の存在の嫁さんの思いを、もっとまともに受け…

 「名辞の世界」の外側

そういや、死んじまった江藤淳が妙なこと言ってた。詩人の中原中也のことだ。 「中也は、名辞の世界の外を言おうとしている」。こんな言い方だった。 小林秀雄ってのも、中也について妙なこと言ってた。 「中也には、普通人が必死で隠そうとするものを人に言…

 クズ野郎

「良心的」な田舎出版社の男と話した。出版ってのは、何故かたいてい「良心」が売りだね。 「今は、何もしねえ奴が得する世の中」 そう言ったら、ハアッ?て顔しただけ。 クズ野郎。「名辞の世界」しか知らねえクズ野郎のことさ。何かするってのは、否応なく…

糞田舎で二束三文の銭もらい、俺はヒトの心意気描いてきた。 映像でも記述でも、伝記でも歴史でも、町工場の親父共の聞き書きでも。 こいつは間違っちゃいなかった。 心意気。こいつを失くしちゃ人間は、男は皆糞虫だ。 この手の仕事は、俺に沁み付いた習性…

俺が餓鬼の頃、『沈黙の世界』という学校巡回の映画があった。そいつは深海のことだった。 俺は今、そいつは人間そのものだと思ってる。 人間ってやつは、深い沈黙を宿してなけりゃ駄目なのだ。 というか、この言い方自体ヘンなのだ。本来人間は誰でも、絶対…

親のため一肌、仲間のため一肌。 これは、子供が普通に備えた感性だ。感性の海で普通に育てば。 この種の感性は乗せられやすい。利用されやすいということ。 そのこととこの種の感性の、あえて良さと言っちまおう―それは別ものだ。 皇国少年の感性沁みついた…

田舎のチシキがダメなのは、自分の肉体・感性から絞り出さなねえで、どこぞで出来た有りものにだけ食いつくので。 商売としちゃ分かるよ。信長まんじゅう、家康もなか。売れるとなりゃ、この手の名前付けるわな。饅頭屋に、いちゃもん付けるいわれはねえ。 …