野良犬

 野良犬人生三十年やってると、はっきり見えるもんがある。飼い犬じゃ駄目。

 どんな商売も言えるが、駄目なのはとりわけマスメディア。活字、しゃべり屋稼業の者達。

 自分の根っこ、どこに。養分は人民の海から吸い取らなきゃ、絶対成り立たねえ商売なのだ。ほんとなら。

 なぜ成り立って来たかってば、寡占。はなから利権の放送は言うに及ばず。「民から身を起こした」が売りの新聞も同じ。どこだって、相当汚ねえやり口で寡占作ってきたはずだ、地方全国問わず。政治屋の回りでゴロ巻いたのが始まりだから、当たり前ってば当たり前。

 この種の者達は全部が全部、根っこ忘れる。忘れることで、身の置き場つかむ。泥舟と血肉一体の組織人、東京人のリアリティ。けつ追っかける田舎もん、上昇者のリアリティ。偏差値科挙の墨付きが、唯一存在根拠。

 俺は律儀に働く奴は好きだ。宮仕えやってりゃ、そうなったろう。仕事の意味、飼い犬なりに問いながら。存在根拠わが身に問う西郷南洲なんかはこれ。組織ん中じゃ、悲劇に終わる。

 終わりたくなきゃ、野良犬はお勧め。野良犬なりの存在根拠、はっきりさせて。

 共鳴共感、義理人情、人の並立、人民民主の共和制万歳。