自殺なんて馬鹿げたこった

 自殺なんてのは、ほんと馬鹿げたこった。

 俺もこの歳になるまで、何度か死にてえと思ったことはある。だから偉そうに言う根拠はねえが。

 今ほんとに思うこと。可能性尽くすってこと。自分の身体に宿るところの。

 人間誰でも、ほぼ等量の可能性はある。ていうか無尽蔵だ。体ん中から湧くもんがあるうちは。発現の仕方は多様でも。

 湧き上がるもんがねえ? 自分に立ち戻りな。余分なもん棄てて。そうすりゃ嫌でも湧いてくるさ。生きるとこまで生きるって気持ち、情念。

 俺の親父は病死する数ヵ月前、俺に言った。「生きる気力、湧かなくてなあ…」。「根性出しゃ大丈夫だぜ」と言う俺に。

 後にも先にもこん時だけ。仕方ねえなと思ったのは。それ以外は、ほんと馬鹿げたこった。自分から身ぃ引くなんて。おさらばするなんて。

 ヒトの可能性は、連帯の根拠はこれだけだからね。湧き上がるもんで生きる。くだらねえもん棄て去った後に。


 共鳴共感、義理人情、人の並立、人民民主の共和制万歳。一人ひとりに根ざしたインターナショナリズム万歳。