ひとり言 その2

 二十数年前。世の中がまだ浮かれていた頃。

 ある変人は言ったとか。「この頃みんな、小さな権力者になっちまった」

 「一億総中流」なるものの実体は、これだったろうと思っている。

 総崩れになれば、また何かにすがり始める。

 空っぽな自分に気が付いた所から、人生は始まる。

 こいつはいつも変わらない。その先延々長くても。

 誰に文句言う話じゃない。自分がやるだけのこと。