サルにタマネギ、1.21 その2

 その昔、俺は釜ヶ崎の道端でおっさん達と焼き肉を食った。仕事のために。そんな自分に嫌気がさして、気が付いたら同んなじ日雇い世界。家庭は失くさなかったが。辛抱強い嫁さんの御蔭で。

 あっという間に人は遠ざかった。人間世界の景色って奴はずい分変わる。ちょっと動いてみただけで。そこで何を見る。人の中に自分の中に。それで一生終わることだってある。後悔があるとすれば、嫁さんにゃ悪いことをした。