学生あがりが駄目なのは


 学生あがりが駄目なのは、単純な話。

 甘っちょろいってこと。



 甘っちょろいってのは、鑑賞する自分、作る側の自分の区分けがねえってこと。

 区分けがねえってのは、知識の名のヒト事でもの作れるって思い込むこと。

 または、身に沁みてつかんだものがねえってこと。



 例えるならば、映画同好会と映画屋の差。
 
 同好会卒でやってける世界。同好会卒じゃなきゃやってけねえ世界。

 それがテレビ。

 または、どこにもはびこるガクレキの娑婆。



 これ総て乗っかってるから。知の利権に。

 なので利権に生きようとする。世界を利権に変えようとする。

 知の利権と官僚の利権。これ即ちイコールなのは、古代中国から変らねえ文系的真理。



 その昔、学生運動なるものに意味があったとすりゃ、返す刀で斬ることだった。

 この手の「自分」を。括弧付きでしかねえ自分を。

 その向こうに見え隠れする空っぽな自分。こいつを白日にさらすために。



 自己否定なる語は、この意味だった。

 いっ時の、ええかっこしいの流行語にも真理はあった。

 流行語だからその場で終わった。



 ほんとは人生初歩の真理。

 娑婆普通に歩けば普通に分かる、イロハの真理。

 
 普通ってのは?

 自前の心で感じること。

 自前の頭で考えること。

 自前の足で歩くこと。

 自前の手使って飯食うこと。


 普通じゃねえってのは?

 空中楼閣に住むってこと。

 霞食って生きれるって思い込むこと。



 普通じゃねえのがまかり通る。

 生身のヒトの汗じゃねえ、ソシキ的、構造的な搾取の上がりで。


 こいつがほんとの利権って奴じゃねえの?

 最初に絞め殺さなきゃいけねえのは、ほんとはこいつじゃなかったの?

 上っ面、見た目の利権突き上げる前に。



 
 知らんぷりして幾十年。

 なので会った記憶はねえ。学生あがりじゃねえ奴に。

 他人にばっか棒切れ向けた、そんな昔懐かしがってるヒマなんかねえんじゃねえのかい? もう。