『♪傷だらけの人生』

 そういや昨夜、鶴田浩二の出てる番組があった。


 『♪傷だらけの人生』は、三島由紀夫が確か死んだ年。


 なぜか笑っちまうのは、「三島さん、一朝事あった時は、俺がおっとり刀で駆けつけるからね」と三島との対談で鶴田が言ったと、なんかの本で見たせいだべ。


 別に三島がいいって訳じゃねえさ。


 若気の至りで死ぬこたぁねえなと、この歳んなりゃ嫌でも思う。


 分からねえこたぁ多々あるさ。四十半ばじゃ。死んじまうもんは仕方ねえけど。


 死ぬ少し前、三島は言った。「俺が死んでも、いつも通り電車は動くだろう。いつも通り人は暮らすだろう」。


 頭じゃ分かっても、そこが人生始まりだぜと実感するにゃ、もっと色々捨てなきゃいけなかったはずだ。


 一緒に出てた吉田正が言った。「人を許せるようになったのは、あんた進歩だ」。


 それ見て嫁さん、「いつまで経っても無理だね。あんた」。


 そうだね。言い訳しねえさ。こみ上げるこん畜生の思いに。


(付記)

 吉田正見て思った。

 真面目ってのは大事だ。

 何んに対する真面目さかは、自分で決めろい。