生きるってのは―
生きるってのは、俺だと言える自分持つこと。
何を今更、しゃらくせえことを。第一、いってえ誰にだい?
自分にさ。一にも二にも。
そのためにゃ自分の人生、徹底的に生きることだ。身に沁み付いた感性、肉体裏切らねえで。
大丈夫さ。偏狭、頑固なんてことにゃならねえさ。
「自分の足元掘ってきゃ、世界に通じる」。こう言ったのは、田舎に舞い戻ったその年、たまたま出くわした偏屈作家。もう30年近い昔。
今は何してんのか知らねえが、こいつは正しいと、当時も今も思ってる。徹底的に掘り下げりゃあね。
でなけりゃ媚びるしかなくなるさ。ススんだ都市に、新たな思想とやらに。今もWASPのアメリカに。
やっぱり豊葦原神の国なんて話じゃねえぜ。
自分の話さ。肉体に生物のあらゆる歴史凝縮した―。