曾我廼家五郎八 ―田舎の大阪 その2―

 曾我廼家五郎八懐かしや。あだ名だけど。撮影屋の助手だった。ぼ〜っとした奴だった。

 ぼそっと言うひとり言は的突いた。仕事はまるで駄目だったけど。

 自分の居場所のひとり言。この手は何より大事だった。鈍臭でも。居場所忘れねえ仕事のためにゃ。

 そういう奴がいた。田舎の大阪。