♪天国よいとこ ―勝手なひとり言―

 死ぬこたぁねえぜ。と言ったって、死ぬ度胸無かったり死にきれなかったり。俺は。

 「♪天国よいとこ一度はおいで―」。聴いたのは、戸のすき間から雪吹き込む二階部屋。大阪の深夜ラジオなぜか入り、聴いた高校時代。

 考えてみりゃ俺の気持ちは、その頃も関西。田舎と地続きって体感は、外れちゃいなかった。上層気取りプチブルは、どこも一緒だったけど。神戸京都おおむねハズレは、行ってみて分かったけど。

 下の子は、俺が田舎に舞い戻った歳になり大阪へ。縦社会のしがらみ蹴飛ばしたんなら、動機は一緒。元気でやれ。徹底的に生きろ。どんなに無様でも。嫁さん子供大事にして。何やったって構わねえ。それなら。

 先日会った田舎爺い、聞きもしねえのに言い訳たらたら。田舎が俺は好きだった。だから東京さ行かんかった…。

 聞かんでも分かるさ。あんたのギクシャク。嫌な思い散々したろ。上昇の糞田舎。

 爺さん救いは、始めたら止まらねえ一徹頑固。先日、やらせ強いる東京のテレビ屋蹴飛ばしたとか。自分の世界、おら曲げられねえ…。

 東京もんはほんと馬鹿だね。尻尾振らねえ奴いるんだぜ。お体裁なんかにゃ。糞田舎にも。

 職人仕事。こいつ忘れちゃ人はゴミ。どんなにギクシャク、見栄体裁でもわが身に尋ねる糸は持つ。俺も一緒。奇麗事の釈迦面なんかしねえさ。

 爺さん、行けるとこまで悪あがき、豚達が捨てた山里でひとり死ぬのも悪くねえぜ。俺も一緒さ。仲間面しねえけど。一人ひとりだからね。この手は。