「山崎ハコ」

 ろくに知らねえもん言うんだから、「 」付けるしかねえ。

 自分の穴掘れ。ハコにゃぴったりだべ。この言葉。

 『♪望郷』なんていい曲。歌詞の字面はありきたり。上っ面の言葉じゃねえのはよく分かる。体から絞ったもんなら。

 流行ろうが流行るめえが自分の歌歌うのが大事なのは、歌に限った話じゃねえ。自前の人生生きたけりゃ。人間そのもの表したけりゃ。自分というワームホール。普遍の宇宙はその彼方に広がってる。一人ひとりに根ざす普遍。

 行き着かなくったっていい。気が付き、生き切ることが大事。それが実存、自前の人生。分かる奴ぁ分かる。受け継ぐ奴ぁ受け継ぐ。形式形骸、古今伝授じゃねえ、自前の魂で受けとめて。

 ハコの『望郷』は、多分三十過ぎの頃の歌唱。今んとこ、こいつが一番いい。体から絞り出す歌。

 音声、画像、文字の良さ、ネットの良さはこれ。とうに忘れられたもんが蘇る。

 人生の絞り出し。そう何度も出来ねえことはある。一回こっきりでもいいさ。人黙らせるもん。


 毎度お馴染み。

(付記)
 昔、高橋和己って作家がいた。「誠実な作家」だったけど、吉本隆明が学生大衆小説って言った意味がよく分かる。集団の気分、人生書いただけ。左翼学生大衆の。錨下ろしちゃいねえんだもんね。自分の人生に。

 マスゴミ、組織人にゃごまんといる。この手の「誠実」男。女。そ〜言や五木寛之なんてのもこれ。商売自覚してるんだろけどね。司馬遼太郎的ウソ臭さ。ワセダって大学なんかにゃ、なぜか多かった気がする。一般論に身をゆだねってやつ。