自分へのノルマ (再録)
腹の底から湧き出る自分の糸を紡げ。
その中で活路を見つけろ。どんなに難儀でも。
要求されるのは大概、というよりほとんどが形式。
形式に見合う最低限の賃金。めいっぱいのノルマ。
それを内容(実質)で満たそうとすれば、自分の首を間違い無く絞める。
時間は無くなる。金は無くなる。ノルマに遠くなる。
だが手を抜く―これをやったら終わりだ。自分という存在の。辛うじて築かれつつある内なる世界は、確実に自己崩壊する。
手を抜かなければ? 50円の賃金で1000円の仕事。
要求する側はニコニコ顔。ノルマを辛うじて満たしている間は。
疲れた途端、倒れた途端、簡単に切る。
これが腐ったゴムの今の社会、今の組織、今の人の関係だ。虚心の汗を知らない者、知っても軽蔑し、恐れ、保身に回る者達が形式の世界を握る。
それでも満たせ。実質で。自分の紡いだ糸で。
自分という存在の活路は、どうあがいたところでその彼方にしか無い。当座はどんなに馬鹿馬鹿しく見えても。事実、馬鹿馬鹿しくても。
大丈夫さ。虚心無心に闘えば。諸々の自負のたぐいをドブに捨てて。内なる声に耳を傾けて。
ばかになるとはこのこと。聡明な傍観者(形式の側の住人)を棄てるとはこのこと。
自分を自分が助けるさ。助ける神など居なくても。
そのためには、繰り返し言う。自負のたぐいはドブに捨てること。内なる声に耳を傾けること。素直に。正直に。
実を伴う革命の、創造の真の糸口だ。どんなに道は遠くても。
共鳴共感、義理人情、人の並立、人民民主の共和制万歳。一人ひとりに根を置くインターナショナリズム万歳。
(付記)
俺はサンダースという軍曹が好きだ。馬鹿馬鹿しいテレビドラマと言われようが。その種の人生は辛うじて生きたと思う。これからも。
所与の世界を目一杯生きる。腹据えて。黙々と。体当たりで。克服の真の力と思想はその内側に生まれる。
岡の上の批判や観念が実を捉えたものに成り得ないのは、当たり前だ。木に竹は継げない。スターリンの檻、北朝鮮の檻、かつての国体の檻。どれも本当の人の暮らしや労働とは無縁の、青臭い観念の空中楼閣。これが生み出した監獄の思想だ。
新しいもの。これを本当に望むなら、砂漠のような現実をまずは徹底的に生きることだ。自前の感性と体感で。情熱で。本物も偽物も、いずれあぶり出しのごとく見えてくるさ。嫌でも。