嘘と虚構 (団塊なる者達 (三))
(初出 1/16/2007)
こいつらがせっせとやったのは、頭で自分を正当化することだった。
「革命なんて古い」 「インダストリアリゼーションの進行で社会は変わった」 「多国籍企業がコッカの概念を変える」…
当たってたぜ。カビの生えた革命話よりは。
その正しさが俺を苛立たせた。
苛立ちの原因は、今になれば、はっきり判る。
お前らは、内心の疼きから逃げた。
時代の「正しさ」に乗って。
疼きが大事だった。
時代の正しさなんんか糞食らえで、疼きの正体を見極める。
生身のヒトには、それが大事だった。
本当は、気付いてたんじゃないんかい?
だからあえて、「正しさ」を言ったんじゃないんかい?
魂を、ブタのごとく眠らすために。
お前らは嘘のベッドの上で、眠りこけた。
時代にとっては実体でも、お前ら自身には虚構の、金出せば買えるベッドの上で。
お前らは時々、寝ぼけまなこで笑った。疼きに生きる者を。
笑うのが子守唄だった。「俺達は正しい」
人を持ち上げ、突き落とす。
貧者となった者に付きまとい、勝手に持ち上げた。
そして突き落とした。「安全、安心」の得意技。
お前らの誰一人、生身の俺を見なかった。こいつが比喩でも何でもないのは、お前ら自身がよく分かってる。
お前らが欲しいのは、理由だ。眠りこけるための。
何度も言うが、世代に意味などない。
俺がお前らを吊るし上げるのは、お前らは、お前らの大好きな知性とやらで自分の実体に気付きながら、何もしなかったとだ。金もヒマも、たっぷりとあった。
その後の同類達の大量発生に、先鞭を付けた。
「貧乏人に、下請けにふところの金回せや」
この一言が気に食わなかったんだろ? 遠い昔、お仲間だった時の。
それで付きまとったんだろ? 言葉の代価払った者に。木戸銭払わぬ見物人として。