漁船と軍艦の衝突で、一つ思い出した。

 俺にゃまるで縁なしのもん。長げえ間。

 いいね、仲間意識ってのは。暮らしの。


 漁師はどこもそんなもんだろ。仕事柄。

 山陰近くのカニ漁の漁師も、瀬戸内の小島の漁師もそんな匂いがした。

 北海道の東はずれにいっ時住んだ、上の子も感じたんだろ。


 連帯の根っこはこいつさ。思想のたぐいじゃねえさ。

 仲間意識が思想にへばり付いたら、体よくやられるだけ。「公」にへばり付きたきゃ、ぶっつけた船に乗りな。


 どこまで行っても暮らしの仲間意識。必死こいて暮らすもん同士の意識。回りくどくても。せこくても。

 のさばり歩くもんに取って代わるのはこいつ。それが共和さ。非政治からの政治さ。

 吉本が昔言った、「町内会の嫌々ながらのゴミ当番」。やるっきゃねえからやるだけ。ありがとさん、お互い様で。
 
 共和制の、インターナショナリズムの魂さ。世界中どこ行ったって。多分ね。