ありきたりな歌

http://jp.youtube.com/watch?v=neTV71wsvnI


 月並みな詩に、命吹き込む。こいつが村下孝蔵の歌だ。
 遠い昔の人々が、宿屋の風景画の中で動き出す。ふすま絵の山霧から、しずく滴る。


 歌うまい奴は、いくらもいる。素人だってこの頃は。
 聴かせる歌ってのは、稀だ。とりわけ、ずっと続けるのは。いろんなもん、心ん中で決着してねえと。素直ってのは大事だ。


 どこにもいるいも兄ちゃんの歌。いも姉ちゃんとだって気が合うさ。
 ありふれたもん、当たりめえなもんから、真っ当なもんが生まれる。思えば、当たりめえの話。

 当たりめえなもん抱く奴が出くわす悲しみが、悲しみだ。そういう奴が出くわす怒りが、怒りだ。共感の。


 いびつでも欠落でも、奇てらったもんでも流行りゃいい商業主義は、別物さ。
 最低限食いながらなら、やれるだろ。たいてい誰も。助平根性捨てて。


 続けることだ。どんなもんも。素直に。時代が勝手にすり寄って来るの指くわえねえで。馬鹿にしねえで。通り過ぎたって、気にしねえで。人や社会との折り合い、心の決着ってのは、そんなもんだろ。

 当たりめえなもん。ありきたりなもん。自分で感じて抱き続ける。自分の中のもんなんだからね。元々。


 がんばんべ。ご同輩達。



(付記)
 B型の嫁さんの、村下の、売れねえ方の聖子ちゃんのお陰さ。行ったり来たりはあるんだろけど。誰も。