嫁さんが図書館から、久しぶりに太宰治の朗読テープ借りてきた。


 太宰ってのは、聞いてて面白れえ。シリアスな話、空とぼけて言う。聞く方も、空とぼけて聴く。腹抱えて笑う。話し手がシリアスだと白ける。もったい、重厚etc.の嘘にすかしっ屁。


 『家庭の幸福』と『桜桃』。前者は俺にゃ、もっともらしい面下げて虚構・搾取で飯食う東京人。こいつらの気取った「暮らし」の化けの皮、素直にひっぺがしてると聞こえるが、そんな野暮は嫁さんにゃ言わねえ。ケタケタ一緒に笑うだけ。嫁さんの方はけろっと笑って、すぐに忘れる。


 ちゃらんぽらん。いい加減野郎。今なら正真正銘盗作の『斜陽』にまつわる話のごとく、周囲にゃ不幸ばらまくだけ。それでもどっか正直者。反逆児。外部世界じゃねえ、人の内部世界への。心にへばり付く虚構虚飾への。


 太宰は、ばかになろうと必死で努め、なり切れなかったインテリの一人。語りの世界じゃ主情通した。だから今でも面白れえんだろ。革命はこっからだぜ。やっぱり。心の革命伴なわねえ革命は、革命じゃねえ。もっともらしい面下げても、ただのドタバタ、クーデターだ。