疲れて体ままならねえ時は 


 疲れ出て体ままならねえ時は、働きすぎて死んだ奴思う。


 「疲れ、完全に抜いちゃ駄目だぜ」。これが奴の口癖だった。闘志の肉体、持続のために。

 仕事の実も知らねえくせに、一丁前に説教並べてふんぞり返る。奴の闘志の源は、この手の輩への憎悪だった。


 組織に勝つ。組織人に勝つ。どんな手ぇ使っても。こいつは正義。

 その昔、三島由紀夫が言ったことを、娑婆で愚直に実行した。その挙句に死んだ。くたびれ果てて。多分首吊り。心筋梗塞と家族は言った。


 組織ってのはマシンだ。バイオリズムなんか関係ねえ。金属疲労の部品は交換すりゃいいだけ。

 そういうこと腹じゃ分かって、知らん振りする輩。知らんぷりできる輩。

 それが戦後大量発生。知性はお飾り、人情皆無、科挙学歴の“エリート(組織人)”共。こいつは案外、偏差値にゃ関係ねえ。バカ大出でもそうなる。意識構造の問題。


 得意技は何もしねえこと。何もしねえことが、組織と付き合う最良の法。これは元祖エリート・宦官の知恵。ものの見事に受け継いだ、元民草のせがれ共。

 だから死なねえ。死なねえまま大量退職。高けえ年金むさぼり、撒いた害毒刈り取らねえまま、バカ拡散したままあの世行き。


 組織相手に、ヨーイドンなんかしねえさ。俺は。あんたの家庭はぐちゃぐちゃだった。所詮アンチテーゼに過ぎねえ自分に、あんたは死ぬまで気付かなかった。

 死んだあんたにゃ、何んにも言わねえ。あほかでお互い別れたまま、こうしてたまに思うだけ。


 俺は生きるさ。家族、家庭、自分のバイオリズムで。どんな手使っても。あんたによく似た馬鹿野郎だった分、死ぬまで反省しながら。人間の暮らし第一。人民民主の共和制万歳。