世界均一化の経済グローバリズムとそれに乗った政治主義が退潮し、民族、国家、地域や暮らしの独自性なるもの言い出す者達が踊り出てる。吉本隆明なんかも、そうじゃねえんかい。いい歳こいて。


 「固有のものを持たないと」。危ねえ話になり易いのは、バカでも分かるべ。


 戦前なるもん、思い出しゃいいさ。私ゃあんたの二人といない父親。母親。だから言うこと聞きなさい。身内の皮かぶった既得権の言に、たぶらかされねえ奴はいなかった。近くの親戚より遠くの他人。こいつは俺の人生の実感でもある。身内面、親戚面する奴に、ろくな奴はいなかった。遠くの他人も、実はいないけどね。俺にゃ。


 バカは反発に乗せられる。ブッシュ駄目。欲得インターナショナリズムユダヤ的経済グローバリズム駄目。アメリカなるもの全部駄目。


 否定してりゃ、身の「潔白」は保てるからね。何もしねえことで保障される、魂の「純潔」。イコール、ニッポンインテリの得意技。何んかの上に載っかってられるから、できるだけの話。食えるからね。何んにもしねえ方が。否定、反発、口先同情で止めといて。


 国家アメリカは駄目さ。国家なんてもんは、どこまで行っても人民弾圧の暴力装置の面はあるさ。


 だがアメリカに善さはある。一人ひとりの魂に、度胸に根ざせという良さが。クリスチャン臭、プンプンするのは閉口だけどね。アメリカは戦後、こいつを日本に持ち込んだ。てめえらのエゴと不可分の形で。


 一人ひとりの魂に、度胸に根ざせ。アメ公に言われなくたって分かってたさ。


 はっきり言えるのは、こいつが土台のトータルな思想(宗教でもいいけどね)作った奴は、皆無だった。この国じゃね。ここまで持ってかなきゃ駄目さ。引かれ者の小唄で終わっちまう。実際それで終わっってる。今も。


 独自性なんてのは、突き詰めて言えば(突き詰めなくても分かるべ)一人ひとりってこと。集団的仲間意識なんざ、無縁なのだ。あるのは度胸への、一人ひとりの人生、魂への共感。こいつが絆さ。真っ当な。人情の根本もこれ。こいつは俺の人生の実感。神はみずから助くるものを援く。人情・心意気ってやつさ。ニッポン風に翻訳すりゃ。昔っから、誰にもどこにも普通にある。普通にあるから共感するんだべ? 見ず知らずの毛唐の話にも。


 自分の生活、人生、体感。こいつ、真っ当に反映した制度=人民民主の共和制。俺なりの言い方だけどね。


 すがっちゃ駄目さ。寒風に立たなきゃ駄目さ。立った時ほんまもんは、ほんまもんの連帯は生まれる。協働の魂。一人は万人のために、万人は一人のためには生まれる。こいつじゃなきゃ駄目さ。いつの時代も。


 この魂、制度に反映させなきゃ駄目さ。言い方悪りいが、うまく使われるだけ。意気に感じる魂は。理念・制度に反映されねえうちは。一人ひとりの陰の努力で終わってるうちは。