Nikon買った

 Nikon買った。


 と言っても、レンズ2本にストロボ付けて10万の安物。


 前のは、観音だか大砲だかのメーカー。もう十何年か前、本気で打ち込もうと買い込んだ数十万の交換レンズ群、全部パー。


 この会社と糞会長は許せねえ。直接的にゃそう思ったから。銭儲け屋の分際で国家持ち上げ、人民庶民に説教。口渇かねえうちに、ど汚ねえこと平気でやる。どっかの車屋と一緒。


 もう一つはクールな判断。電子のメカは進んでるさ。だが現場の使い勝手考えねえ仕様に愛想尽きた。


 撮ってるうち、ストロボは外れる。外れるだけじゃなく、電池カバーの蓋が勝手に開き、電池ばらける。


 このメーカーじゃねえが、フィルム巻き上げるとシャッタースピードのボタンに触れちまい、設定変わっちまうカメラがあった。


 こういう所に気ぃ回らねえのは、上っ面どんなご立派なメカでも駄目。勘違いしてヘンなことぬかし始める発想と、根は同じと俺は思ってる。使い手、現場思う気質のカケラもねえってこと。


 Nikonの会社が、まともかどうかは知らねえ。だが職人気質の匂いはある。数年使ったバカチョンカメラは確かに丈夫。今も予備機で使ってる。何より壊れねえことが大事。


 同じ時期に仕入れた他のカメラは、レンズはドイツのキレいい品だが、ほこりがメカに紛れ込み、修理に出してもまた同じ。こういうバカに気が回るかが仕事の体質、会社の体質と俺は思ってる。


 高校の頃、Nikonは俺にゃ高嶺の花。今じゃ絶交の糞兄が、その時なぜか買ってくれたのが、NikonFの半値程度の一眼レフ。それでも俺は嬉しくて、中古の現像、焼付け機まで買い込み、猛暑の山、厳冬の河と撮りまくった。


 ムービーの撮影屋だった頃、カメラ小僧の若けえ助手達が持ってたのもNikon。孫請け、バイトの安賃金で買ったんだろ。ボディ大事に磨いてた。


 40数年経て、垂涎の機種だった一眼レフNikon入手。昔と違うデジカメの、一番の安物だけどね。車体価格10万もしねえぼろ車乗り継いでる俺にしちゃ上出来。


 普段細けえ嫁さんも、「よかったね。あんた」。観音カメラの大無駄知りつつ。


 根性出してやるぜ。行けるとこまで。