筋金入りと人情
田舎暮らしで3人出くわした。
筋金入りの共産党おやじ。
共産党ってのは、面白れえ。上層、組織人は大抵やさ男、人情無し。地べたにゃ、違うのがいた。
昔の社会党系、総評系にゃ、知る限り地べたにもいなかった。一徹、筋金入りは。地べたそのものが無かったんじゃねえかな。労組(組織人)ばかりで。
共産党もそのはずだが、なぜか昔ゃいた。地べたの匂いするおやじ。
貧乏暮らしで子育ての頃、元山林労働者のおやじに出くわした。仕事の関わりで。
おやじは山に住んでた。ある時遊びがてら、嫁さんと子供連れてったら、おやじはそっと包んで俺に渡した。後で開くと万札だった。
当時はほんと、金無くて困ってた時。子供にかずけて親にくれたんだろなと思った。子は幼稚園と2歳だった。
嫁さんと俺はありがたく、暮らしの足しにした。その後も、作ってるものとかもらった。恩に着せるおやじじゃなかった。
あと二人はずっとあとだが、同じ匂いの一徹おやじだった。どれも農家だった。
こういうおやじ達にゃ素直に言える。おやじ、がんばれや。方向、どっか俺と別だけど。そんな野暮話、向こうもこっちもしなかったけどね。
頑迷頑固のにおいは抜けなかったが、こういうおやじ達が俺は好きだった。昔の師匠の職人カメラマンと同じ匂いがした。頑迷頑固を実践でやってた。自分の範囲で。
人生、何度か人情に救われたことはある。手を差し伸べるのは、全部が全部この手の地べたおやじ、地ベたばあさんだった。右左なんざ関係なかった。有形無形、どれもありがたく受け取った。
余分な話だが、学卒・団塊・組織人にゃ、この手は絶無だった。評論くれるのは、ごまんといた。
そういや、一人例外はいた。こいつの話はいずれまた。