覚悟???

 先日ひょっとこ首相は、対北朝鮮で「戦う覚悟」説いたそうな。

 だれが覚悟するんだい?

 自分の手の及ばねえもんにゃ、そん時ゃそん時と腹くくるぐらいしか出来ねえんだけど。

 ひょっとこは、ほんと馬鹿だね。馬鹿っていうか正直だね。

 俺のものは俺のもの。人のものは俺のもの。実質階級制の、搾取の政治社会構造ってのはどこ行ってもこんなもんだが、民主化なんて実はまるで出来てねえこの国の政治屋共の魂胆、露骨に言うってのは正直もんさ。

 国民はお客様。お客様扱いほど、人馬鹿にしたもんはねえんだけどね。権力立場は手放したくねえ。上意下達が本質の国体国柄は変えたくねえ。だが一応民主。親分アメリカに言われたから民主。

 こいつを墨守した戦後保守達は、なので国民をお客様にした。お招きして持ち上げ、飴玉撒いて、羊頭狗肉のおもてなし。

 ある時、豹変するに決まってるさ。あばずれ亭主はよくやるべ。こんなにしてやってるのに、まだ分からねえのか。俺の言うことまだ聞けねえのか。

 いずれこう言い出すに決まってた。ますます言うぜ。これから。

 そ〜いえば今の天皇なんかも、昔ゃ言ってた。「国民のみなさん」。今は「国民」。天皇様になったんだからそう言えと、入れ知恵する奴いるんだろね。

 訳知り顔が売りの小林秀雄は、その昔言った。大陸じゃ田母神レベルの偏狭が小細工して中国人民泣かせ、太平洋戦争にまっしぐらの頃。「知らしめよ。されば立たん」。そう書いた朝日新聞だかを馬鹿にして。知らされなきゃ立てねえなんて、インテリはなんて弱い愚かな存在だ。国民は誰も手探りの中で生きてる。だれもが、分からねえ中でやってるんだぜ。

 実体は権力の御座敷芸者のマスコミなんざ、当時も今もまるで変らねえが、ここでほんとに引導渡さなきゃいけねえのは、小林に代表される人生・世の中知ったかぶりの詐欺師。わけ知り面の糞インテリ共だ。

 こいつらのスタンスが、黙って受け入れ生きてます面が、どれだけ真っ当な変革を、人の真っ当な怒りを阻害してきたか。

 「あるものをあるがまま、自然に受け入れ生きる」。一見二見ごもっとも。口あたりいい言葉だ。だがこういう分別臭せえ精神が、したり顔が、いってえどこから出てるか分かるかい? 何んにもしなけりゃエサもらえる、「沈黙の世界」からさ。太宰治が見抜いた、小さな虚構の幸福を生きる慇懃無礼な東京人(役人小役人の性根)。こいつらを頂点とするところのね。

 自分で生きりゃ、嫌でも何んかとぶつかる。こいつだけは絶対避ける。だから何もしねえ。「自然」なるもん受け入れて。受け入れねえ馬鹿は冷笑し仲間はずれにして、突き落として忘れる。これがこの国の、娑婆の人民の血を素知らぬ顔で吸い尽くす奇麗事仙人共の、国体暗黙受け入れインテリ共の、百年一日の処世さ。

 人は人、俺は俺。根底にこいつが、骨身に沁みたこいつがまるでねえから安易に「覚悟する」、知らしめられりゃ「立つ」、仕方ねえなと鷹揚よそおい追従する。自分は絶対やべえ所に身ぃ置かずに。そのための処世として。

 これが国体国柄・体制内の「自然」受け入れる奇麗事仙人共の、二重三重の詐欺師の手口だ。

 難しい話じゃねえさ。けつまずいて痛てえのは俺。ほんとに困った時ゃ、誰も助けちゃくれねえ。どんな時も自分の足で立つしかねえ―。仕事でも何でも真っ当にやりゃ、嫌でも身に付くこいつを腹に収めりゃいいだけの話。

 自分の人生ほんとに生きてる奴は、人になんか命令しねえさ。覚悟なんか誰が求めるか。責任持てねえ他人に。他人の人生に。

 お客様扱い=「女子供」扱いは、なあなあ装う虚構は、みんな一緒の嘘っぱちの国体国柄は、徹して廃棄しなきゃ駄目さ。一人ひとりの人生から。世の構造から。

 真っ当に、てめえで汗して生きろってことさ。