ふるさと

 小春日和。冬の日だまり。

 誰もそこにはいない。いつだったのか覚えも無い。

 覚えは無いが、間違いなく俺はいた。

 よみがえる枯れ葉の匂い。それがあかしだ。

 幼い頃も思った。十五の頃も、二十歳の時も。何だか分からぬ遠い日の記憶。

 ふるさとは、それで十分だ。