独白 ―1995〜2000年、ネットの青春時代―

 ネット上の読み物で面白いのは、書き手の独白だ。

 先日も書いたように、この種の記述で面白いと思うものの多くは、十年以上前のものだ。

 自分の思いを伝えたい。伝えたい以上に表したい。

 ここに、当時の独白読み物の面白さがある。

 自分を表す。その場を得た喜びが、虚しさに勝った時代。

 それまでは不特定の他者に何かを伝え得る表現の場は、出版、新聞等々のメディアの独占物だった。

 このことからの解放の喜び。それが素直に表れた時代。それが1995年から2000年頃までの時代だったのだろうと思う。手間も惜しまずホームページを立ち上げ、それまでならば永遠に触れ合うことの無かった人々に向けて、自身の思いを書き連ねた人々。それは文字通りの自費出版だった。

 俺はものを書く原点は、どんな時代もここにあると思っている。何でもいいから、とにかく表したい。あふれる思いを。まだ見ぬ共鳴者に向けて。それが自分自身の投影に、夢想に過ぎなかったとしても。

 本当に人を説得し得るもの。納得させ得るもの。

 それは説明でも説教でも、こけ脅かしの修辞でももちろん無い。体当たりの表現なのだ。湧き上がる思いの。

 1995〜2000年。それはネットの青春期と言っていいのだろうと思う。

 この時代を、このことを忘れないことだ。その頃の人々よ。そして今在る人々よ。その心の青さを。

 わが魂の表現。何に託してもいいのだ。それならば。