「素っ裸になっちまった方が勝ち」

 橋下徹と北大の何んとかいう先生の舌戦が、テレビであったとか。

 橋下の勝ちだべ。見てないんだけどね。

 「素っ裸になっちまった方が勝ち」。これがどろどろ泥田の大阪庶民の知恵―ってより嗅覚だ。

 以前つんくという歌手が、見るに耐えねえ餓鬼んちょグループを恥ずかしげも無くプロデュースした時、「やったもん勝ち」と言ったが、これが地場の大阪人のセンスと嗅覚だ。

 橋下はバックグラウンド(見物人)に、地場の庶民を想定している。

 北大の先生の方は多分、正しさを分かってくれる識者、市民を想定してたんだろう。

 案の定、俺の買う田舎新聞は、時々記事を書いてくれる先生に肩入れし、橋下のマナーの悪さ、品の悪さをなじっていた。

 この新聞は正しいことを言うことがあるので県外人にも案外人気だが、地場の俺はここの記者達の特権・エリート意識にゃ辟易としてきた。

 蛇足だが、エリート意識って奴は愚劣下劣姑息の本音と裏腹ってのは分かるべ? 原発話なんか持ち出さなくても。

 差別も階級制も露骨に味わえる大阪の下層庶民は、この辺は瞬時に嗅ぎ分ける。「言う場にいるから言うだけ」。ここらが橋下のセンスでありつけ目。

 「こうなりゃ愚劣なものの頭目になってやる」。愚連隊の親玉に過ぎなかったヒトラーの心理をそう推測した者が昔いたが、このまま行くと同んなじことが繰り返されるべ。東洋の島国で。

 そう。裸になっちまった方が勝ち。だがヒトラーも橋下も、それ売りにしてるだけってのは見落としちゃいけねえ。

 いっ時売れる餓鬼んちょ歌手のプロデュース同様、その場その場の嗅覚だけ。交換価値だけの。作る知恵も汗も性根もまるで無い。この手の商売人達にゃ。

 アナクロの神をまたぞろ持ち出し、光背頼みのチンピラ学園・はりぼて国家を作るのがせいぜいなのだ。だから困るんだけどね。

 だからって、気の利いたこと言う側に肩入れしても無駄。てめえで作るしかねえのだ。誰もが。素っ裸になって。