朝っぱらのひとり言

 朝っぱらから唐突な話だが、純朴を装って上昇を試みる手合いは無数にいる。田舎には。

 たまたま行った仕事先。「素朴な村」に人を受け入れるボランティアがいたので、百姓仕事は昔取った杵柄(きねづか)、手伝ってやった。

 その後何度か関わったが、ある時相手は「俺はもう東京と関わってる。あんたの相手をしてる暇は無い」。正直なお人だった。

 驚くことは無い。これが俺の田舎の大よその現実(精神構造)だ。

 その同じ村で、ある時村おこしとかの会合があった。出席した爺さん、聞きもしないのに唐突に「うちの息子は首都圏で医者に」。

 「はあ、それは良かったですね…」。この手の田舎にゃ若い者は戻る訳が無い。実を言えば、俺の親父も全く同んなじ精神構造だった。

 貧乏人が都市へ流れるのは必然の流れだ。食うために。それに文句をつける筋合いは無い。だが一つ言えるのは、意気に感じない(横の連帯などあり得ない)精神構造って奴は、貧困が生み出す必然では無いということだ。