堂々巡りの雪の空

 この国の知者達は、知の素人を嘲笑う。

 虚構の知の解体の手がかりがそこにあるにも拘らず。

 この国の民衆もおおむね彼らの仲間の素人の側では無い、知者の後ろに回って彼を嘲笑う。

 素人は痺れを切らして印籠に手を伸ばし、時代は堂々巡りを繰り返す。

意識はいまだ封建

 慣例からはみ出た同胞を叩く習性が抜けない限り、その種のバカさに骨の髄から気が付かない限り、権威という濾過装置は永遠に必要悪として存在し続ける。

 民主主義とは異質の者同士の対話。近現代の西欧思想はこれで散々苦労したが、日本社会の知者達はこの種の苦労を、このことが可能になった戦後も放棄したまま惰眠をむさぼり続けて来た。科挙学歴の特権に例外無く乗って。

封建制下の解放思想

 共同幻想としての自由、共同幻想としての解放、共同幻想としての反体制、共同幻想としての創造、共同幻想としての労働者…。

 これらは皆自己発見では無く、所与のものとして人々の頭の中に存在する。朱子学的社会のネガとして。