羊達とファシズム


 権力は空白を侵す。

 単純な力学だ。

 人間がダイナモであることをやめれば、

 出来合いのます目を埋めるだけの、干からびた存在に成り下がれば、

 権力は平気で侵入する。仕事にも暮らしにも内面にも。


 ファシズムは、手招きで呼び寄せられる。

 暮らしの側は、こいつを忘れちゃならない。

 でなけりゃいつまで経っても、自分を棚に上げた無辜(むこ)の民草だ。