作るしかない

(初出 12/31/2006)


 人は、首から上は自由だ。



 だが日々感じるべきは、首の下の自分なのだ。



 土壇場で決定権を握るこいつは、実は何を気にして、何を怖れているのか。何に惹かれ、何に尻尾を振っているのか。



 首の上は無意味ではない。知はヒントだ。



 だが魂の所在を思うことなくこいつを研けば、彼は彼女はあっけらかんとした、罪に対して永遠に無自覚の特権者になる。



 保守なるものが土壇場で、核心部分で強いのは、この一点だ。どんな馬鹿でも、嗅覚で知っている。こいつを迂回する知性。それは必ず土壇場で逃げることを。



 この時ばかりは本音で動くからだ。



 巷に生きる者達は、駆け出しの営業屋でさえ、顧客のする首からの上の話など聞いてはいない。 



 主体となるものを作るしかないのだ。泥に塗れても。永遠の批判者を止めて。