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書くことの意味や目的はいろいろだが、俺の場合はっきりしたのは、人の意識の基層に向けて、ということだ。
何で書くのかな…。
答えを言葉にしたら、こんなことだった。
基層に向けてとは、原形に向けてとイコールだ。心に向けてと言ってもいい。
こいつなら、胸に手を当てて書くことの意味も生じる。ひとり言の意味も生じる。
娑婆の損得利害や、社会の垢で固まった意識じゃない所のものを書く。金にならない話と言ってもいい。暮らしの足しには、なることもあるだろう。時には。
意識の基層は、原形は心は、誰も一緒だ。この世に生まれ、暮らし、死んでいく。それは誰も一緒なのだ。
この「一緒」には注意が要る。
娑婆の垢と未分離だと、ファッショになる。
「だから俺の言うことを聞け」
宗教や、組織や国家の標語や精神は、総てこの手合いと見ていい。素朴などと言われるものも、案外平気でこれをやる。
指示、命令の直列つなぎ。人と人の関係も、意識と心の関係も、直列つなぎだとこうなる。大事なのは並列つなぎ、並立だ。
共感、共鳴。潜んでいるものを呼び起こす。ピラミッドの仕組みでは、なし得ない。
想起する。想起させる。おのずと。自分の中でも、人との関係でも。
だめなら沈黙するだけ。わが身を振り返るだけ。
こいつは娑婆でやるのだ。寺院の中じゃなく。