共和制の魂 その六  ―あちら側じゃねえ、こちら側の思想―

 自民党にゃ哲学無かったと、どっかに書いてあった。無くてよかったさ。

 こいつらが作る哲学ときたら、天皇・国体・靖国・修身のたぐいの焼き直しに決まってるからね。焼き直しどころか、またぞろそのもの出したがる僕ちゃん元首相一派もいるべ。

 前も言ったが、かつて橋本龍太郎だか小沢一郎だかは言った。俺達は戦後、言いたいことも言わずに我慢してきた。

 何んで言えなかったんだい? 言や言えたはずの本音。駄々っ子の社会党に、小児病の日教組・労働運動、新左翼面の馬鹿学生共に、奇麗事だけの市民面、共産党共に。

 単純な話。根拠は全部ぶっ壊れたからだ。敗戦の日に。人民見殺し、すたこらとんずら、後生大事はお家国体・統治の仕組みだけをさらけ出したあん時に。最低限の国民国家すら無かったってこと。

 日本ってのは、ダメ親父の家とよく似てる―ってよりそのものだ。俺が食わしてやってるのに何んで言うこと聞かねえんだと、こぶし振り上げ居丈高。でも嫁さん子供は知らん振り。あんたが後生大事なもの。それは生身の家族家庭じゃねえっての、とっくの昔に見透かされてるので。

 この国の戦後の右翼、国家主義者のたぐいのやり口見ると、てめえらの内側にゃ根拠が実は何んにもねえってのがよく分かる。あげ足取り、きんちゃく切りのやり口しかできねえからだ。歴史の重箱の隅突付き、南京虐殺は無かった。沖縄の人民は勝手に自主的にくたばった。関東軍はとんずらしなかったetc.  

 どこにだって一人ぐらい、いたかも知れねえさ。八紘一宇本気で信じ、中国人民殺せなかった善人。国家国民一体本気で信じ、民衆見殺せなかった律義者、真っ当な魂。

 善人律義者ダシにしちゃいけねえぜ。国家愛同胞愛切り離せねえまま藻屑と消えた者達を含め、この手の魂を最も裏切ったのは、女子供小児病の国民でも何でもねえ、そろばんずくで国家国体に食いついた軍部右翼、官民含む縦社会・官僚の性根だったのは、どこの歴史ほじっても明らか。真っ当な魂を裏切り蹴落とし、がらんどうに食い付くしか能のねえ空っぽの父ちゃんがいくら威張ったって、誰が今更言うこと聞くもんか。地に足付ける暮らしの側が。

 国家国体縦社会、サラリーマン・官僚社会でしか生きがい持てねえ父ちゃんが復権するとすりゃ、女子供小児病が女子供小児病のまま衰弱し切ったときだべ。食わしてやるから俺の言うこと聞けの嘘っぱち、ファッショまたぞろ到来ってこと。

 国家がどうの国体、右翼、靖国がどうのと言ったけど、こんなミイラ、ゾンビどうでもいいんだね。ほんとは。

 あちら側の思想じゃねえ、こちら側の思想。上にゃ青空だけ、下にゃ大地だけの真っ当な暮らしの思想、人のレベルできっちり土台にするってだけの話。ぱ〜な父ちゃんに反抗だけの小児病、口先、非生産の人生止めて。国体国家縦社会の個人レベルの糞根性=上昇志向の性根捨てて。過去に死んだ殺された善人律義者達、きっちり弔って。嘘八百のために死者人質にするずるシャモ神社じゃねえところで。郷土愛同胞愛、人民の魂は人民の側で。そうすりゃ見えてくるさ。国家はただのサービス業。

 毎度おなじみ。共鳴共感、義理人情、人の並立、人民民主の共和制万歳。一人ひとりに根ざしたインターナショナリズム万歳。

 政治の上っ面になんか、しゃしゃり出ねえこと。こちら側にいてきっちり作ること。こっち側の思想。自前の人生土台にね。