停滞の世代 (初出 8/30/2006)


  「団塊」が大量退職し、下の世代への技術の移転がスムーズに行くのか心配だという記事が、何かに載っていた。ある記事には、この世代が日本経済を支えてきたと記されていた。



 私の知る限り、この話は嘘っぱちだ。何故なら私も一応、その世代の一人だからだ。



 自分への反省も込めて言えば、この世代は何も生み出さなかった。年表めくれば分かることだが、今に続く社会と経済の停滞始動期に青年期を送り、順応した。



 破壊のポーズだけとりつつ、白ぶたの側に回り、身もだえすることなく安住して、人生双六上がりの時期を迎えようとしている。若旦那のまま終わる世代。



 一時言われた食い逃げ世代の評がかき消えたのは、彼ら自身がもみ消したのだろう。



 この世代にできる事といえば、作ることとは無縁のマニュアルの伝承か、鼻をつままれるのも知らずにしゃべるうんちく程度だ。間違っても創造力の移転ではない。



 彼らは、創造の源となるはずの自分の孤独を抱え切れなかった。それだけでなく、他者の、先達たちの孤独の情熱をあざ笑った。孤独と向き合えない自分を誤魔化すために。