2007-09-11から1日間の記事一覧

男と女 (三)

(初出 12/12/2006) 女はたいてい、かわいいものとして男の前に現れる。 男はたいてい、ほだされ結婚する。護ろうと。 やがて男は、女が数倍したたかで、生命力に満ちていることに気が付く。 それは大概の場合、女が母となってからだ。 それは多分、地上の…

過去からの葉書―「団塊」なる者達―

(初出 12/10/2006) かつて私がいた会社の同年の者から、挨拶状が来た。退職の挨拶だ。 「これからは、賃金のために働くことはせずに生きていこうと思います」と書いてあった。 葉書は一、二ヵ月、棚の上に置いたままだった。 ある日妻が「これ要らないよね…

人や社会を語るとは…

(初出 12/10/2006) 自分に刀を向けない思想は、思想に値しない。 人や社会を語るのは、自分の内に潜む同質のものにこだわるからというのは、分かりやすい自省だ。 人は、自分の中に潜まないものは気にしない。気づかないか、ああそういうものかと、ろくに…

仕事(初出 10/21/2006)

昔、地方出版社なるものと関わった頃。 編集者の肩書きを一応持つ者が私に、「原稿が遅い」と嫌味を言った。 後になって分かった。他の書き手は、言われたことをそのまま、まとめるのだ。 自分なりに飲み下して書く。このプロセスがなければ、それは早い。 …