職人

朝っぱらから、村下孝蔵聴いて仕事の準備。 村下ってのは、職人だったんだろ。生きてた時のことは知らねえが。 歌聴くと何故かやっぱり、ちばあきおって漫画家思い出す。 『キャプテン』とか『プレイボール』描いてた漫画家。 ちばの方は、どっかええかっこ…

テレビは、面白くねえ。 ニュースもドキュメントもドラマも。 トレンディドラマなんてのは、とりわけ。 理由ははっきりしてる。 お仲間達の物作りだから。 踏ん張る奴がいねえのだ。 「ここは、もうちょっとこうしねえと…」 踏ん張りの根拠は、そいつの孤独…

えせ職人(初出 8/12/2006)

関西にいた頃。当時言うパチカメ(スチール写真)の写真家をめざし東京で就職し直した助手の一人が、数ヶ月で舞い戻ってきた。挫折したと言うのだ。 「写真スタジオに何十人、雑魚寝させられてました。力のある者だけ残るというやり方で」。「力が無かったか…

職人列伝 (二) 細工職人

(初出 8/12/2006) 久しぶりに職人に会った。土地に伝わる細工の職人。 にこやかに話す男だった。仕事の姿をとカメラを向けると、作業に戻る男の顔が締まった。そうでなくちゃ。饒舌なのは、親父、祖父の時代とは違う。バランス崩さなきゃいいのだ。 長話の…

  助手達(初出 8/11/2006)

私が関西でカメラマンになった頃、助手達にはへんな奴がいた。曾我廼家五郎八のような、この頃ではミスターおくれのような、いつもぼーっと突っ立ってる男がいた。私と同年で、最初はまるで言うことを聞かなかった奴もいた。どちらもそれぞれ一家言あった。 …

  職人列伝(三) 仕事のできた人

(初出 8/25/2006) その人は、仕事のできる人だった。 東京でキャリアを積み、あちらの雑誌社の仕事を請ける彼女は初め、一人ですべてを賄わなければならない私の仕事を笑った。だが一、二度関わるうちに、飲みこんだようだった。以来、やり取りはスムーズ…

(3) 職人列伝(一) 放送界最後の職人 音屋の0さん 第三話

(初出 7/9/06 ) この仕事でOさんは、実は音声技術者以上の役割を果たした。彼は作曲家の手記の朗読で、声優役も務めたのである。Oさんを声優に仕立てたのは、下請け会社の担当と私だった。それは正味24分30秒の、画面編集成った映像を見ながらの時だった…

(2) 職人列伝(一) 放送界最後の職人 音屋のOさん(第一話)(第二話)(初出 07/07/2006)

(第一話) 職人とは古くさい言葉だが、ほかに適当な言葉が見つからない。ここでは、自分の仕事の世界に没頭できる人というほどの意味に理解してもらえればと思う。 職人でまず思い出すのは、七回前に触れたある音屋さんのことだ。もう十数年前に亡くなった…